
2026.6.15
文化庁「全国各地の魅力的な文化財活用推進事業」伴走型コーチング事例集が発刊!持続的な収益化のコツは?
文化庁より、令和7年度「全国各地の魅力的な文化財活用推進事業」の『伴走型コーチング事例集』が発刊されました。
本事業は、全国各地の文化財を活用したコンテンツの造成・販路開拓を支援するとともに、事業者が将来にわたって自走できる体制の構築を目指す取り組みです。
『伴走型コーチング事例集』は、令和7年度の事業を通して見えてきた、持続可能な収益を上げたり、事業を継続させたりするためのポイント・ノウハウをまとめたもの。
特に代表的な事例について、コーチングやコンテンツ造成の流れを詳細に紹介しています。
「文化財をどう保存・活用していけばいいのか」
「文化財を活用して、きちんと持続できる事業をつくるにはどうしたらいいか」
そうした点にお悩みの方は、ぜひご覧ください。
※株式会社あっぱれは、ADKマーケティング・ソリューションズ株式会社とのコンソーシアムにより、本事業の事務局業務の事務局を務めています。
▶ 事例集(文化庁):https://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/joseishien/zenkoku_katsuyo/94166701.html
▶ 本事業におけるあっぱれの取り組み:
https://appare-jp.com/works/bunkacho_bunkazaikatsuyo2025
コーチングで持続可能な事業へ!
文化財を活用した観光コンテンツには、収益化の難しさが常について回ります。
維持管理費の捻出が先行してしまう構造、集客が難しい立地、そして「活用すること」と「文化を守ること」の間の難しいバランスなど……。
文化財活用に携わる関係者は、多くの課題に直面します。
こうした中、文化庁の本補助事業の最大の特徴となっているのは、補助金の交付にとどまらず、「専門家によるコーチング(改善指導)」を組み込んでいる点です。
コンテンツ企画・プロモーション・販路開拓など、多様な分野の専門家が、採択事業者に伴走しながら、課題を共有し、持続可能なビジネスモデルの構築を支援します。
あっぱれは、事務局として、こうしたコーチングの統括・プロジェクトマネジメント支援などを担いました。
以下、事例集で紹介されている事例の一部を紹介します。
事例① 常栄寺庭園特別体験事業(山口県山口市)
――「禅×芸術」で地方の文化財を世界に売り込む
室町時代の水墨画家・禅僧の雪舟がつくったとされる「雪舟庭」を擁する山口市の古刹、常栄寺。
ナインバレー株式会社の九谷直樹さんは、この文化財に眠る可能性を世界に届けるため、禅の修行体験を核にした高付加価値プログラムの開発に挑みました。
コーチングの中で明確になったのは「雪舟」というキーワードを核にすることで、水墨画・禅の修行・大内氏の食文化・湯田温泉という複数のコンテンツが一本のストーリーでつながるという発見。
「禅」は海外でも広く知られた言葉であり、難解な歴史的説明よりも遥かに強い入口になります。
【コンテンツ概要・数字】
・1泊2日のプログラム価格:13万2,000円(ヨーロッパを中心とした欧米富裕層向け)
・月1回開催、最少催行人数10名
・売上の10%を常栄寺の運営・修復費として還元する仕組みを設計
・モニターツアー計3回実施(海外参加者5名含む計16名)
・旅行代理店からは「コンテンツを切り分けて販売したい」という声も
担当コーチは「事業者の強みを活かしながら弱みをどう補完するかがコーチングの鍵」と語っており、マーケティング経験を持つ事業者の力を最大限に引き出す形での伴走支援が実現しました。
地方に眠る文化財でも、適切なストーリーと価格設計があれば、世界に売れる体験商品になることを示す事例です。
事例② 藤間家住宅の新しい文化体験プログラム発信事業(奈良県奈良市)
――非観光地の小規模文化財が「定員の6〜8倍」の申込みを集めた理由
奈良市高畑町にある築約300年の藤間家住宅(登録有形文化財)。
かつて春日大社の神職が居住したこの「社家建築」を守る一般社団法人高畑トラストの佐久間信悟さんは、修復費用の安定的な捻出を目指し、海外向けの滞在型プログラムの開発に取り組みました。
コーチングでまず行われたのは、ターゲットの再定義です。
一般的な富裕層ではなく、「本物の体験を求める知的関心の高い層」——日本文化を研究する大学者やアーティストなど、学術ネットワークを通じてアクセスできるニッチな層に絞ることで、大きな広告費をかけずに直接届けられる戦略が生まれました。
【コンテンツ概要・数字】
・掛軸表装プログラム(1ヶ月滞在):69万7,000円
・金継ぎプログラム(1ヶ月滞在):46万9,000円
・定員4名に対し、掛軸表装は25名、金継ぎは33名が申し込み(定員の6〜8倍)
・参加者の国籍はルーマニア、ギリシャ、ブラジル、インド、台湾など多様
・単日ワークショップ含む売上計約560万円、うち利益約280万円
・次年度は両プログラムとも年2回開催に拡大予定(すでに全枠埋まり)
小規模な文化財でも、ターゲットと訴求方法を正しく設計すれば、持続可能なビジネスモデルが成立することを証明する事例です。
令和7年度 その他の採択事業(一部)
『伴走型コーチング事例集』では、上記2事例のほか、以下のような事業の事例も紹介されています。
・京都西山竹あかり〜幻想夜2025〜(京都府) 放置竹林の活用と文化財×アートイベントの融合。延べ約1,500人が来場し、3寺社の拝観料が例年比約250万円増。
・「秋田男鹿の食文化を食べる」文化財の森長旅館(秋田県男鹿市) リノベーションした文化財旅館で地域食文化を体験するコンテンツを造成。ウェディング・研修など多様な貸切プランも展開。
さまざまなノウハウが紹介されている本事例集。ぜひご覧ください。
ご相談はお気軽に
あっぱれは、文化財を生かしたコンテンツづくりについて、体制構築からプロデュースまで日本全国で取り組んできました。
特に、私たちが力を入れているのは、「一時的な補助金獲得・コンテンツ造成でなく、きちんと文化財を持続可能なかたちで活用・継承していくための仕組みづくり」です。
「文化財をどう活用し、未来に残していくか」にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。旅行会社・広告代理店といった民間企業様からの補助金事業への連携、自治体・文化財所有者の方などからの相談も歓迎します。
▶ あっぱれへのお問い合わせ:https://appare-jp.com/contact