2026.10.15

令和9年度 文化観光の政府予算は?ーー文化庁、観光庁の概算要求を読み解く

2026年8月末、文化庁と観光庁がそれぞれ令和9年度(2027年度)予算の概算要求を公表しました。

文化庁は前年比2.2倍となる2,335億円、観光庁は同1.4倍の1,905億円を要求。拡大の主な原動力は、訪日客急増に伴う国際観光旅客税(出国税)の増収です。

文化観光に取り組む事業者の方にとって追い風となることが期待されます。

旅客税の増収が文化庁・観光庁の予算を押し上げた


国際観光旅客税は、日本から出国する際に1人3,000円が課される税金です。

コロナ禍で落ち込んだ訪日外客数が近年、急回復し、税収も大幅に伸長しています。

この財源は観光庁が一括計上したうえで、文化庁・環境省など関連省庁に配分される仕組みになっています。

令和8年度(2026年度)の実績では、旅客税財源のうち文化庁に224億円、環境省に178億円が移管されました。

令和9年度の要求では観光庁の旅客税財源枠が約1,800億円(R8実績比約2倍)に拡大しており、各省庁への配分額もさらに増える見通しです。

【読み方の注意】

※なお、文化庁の令和9年度の要求2,335億円には、この旅客税財源からの移管分を含んでいます。

※概算要求は、12月の閣議決定を経て正式な予算額が確定します。R8年度は、観光庁の一般財源分が、概算要求から約2割、減額されました。補助事業の募集・申請は、12月以降の予算成立後となります。

文化観光分野で活用できる主な補助事業


文化庁の大幅な予算増は、クリエイター等育成支援(649億円)が新規計上されたこと、また、「文化財の匠プロジェクト」による保存・継承等(248億円から517億円に増)などが大幅に強化されたことによります。

一方で、「文化観光のコンテンツ造成」という観点から見たとき、文化庁の令和9年度要求の中から、特に注目したい補助事業を紹介します。

以下は、すでに金額が明示されているものとなります。

▶ 日本遺産活性化推進事業

予算額:2.3億円(前年度2.0億円/前年比+13%)

地域の歴史・文化・伝統を語るストーリーを認定する「日本遺産」制度を活用した地域活性化を支援する事業です。

認定地域の課題分析や普及啓発イベントの開催、観光ガイド育成などが対象となります。予算規模は前年比13%増と着実に拡充されています。

▶ 伝統文化親子教室事業

予算額:24.1億円(前年度14.9億円/前年比+62%)

子どもたちが親子で伝統芸能・茶道・華道・書道・和装・囲碁・将棋などの伝統文化を体験・修得できる機会を継続的に提供する事業です。

「教室実施コース(地域団体による体験機会の創出)」「広域支援コース(統括団体による広域展開)」「地域連携コース(自治体と連携した裾野拡大)」の3つのタイプがあり、伝統文化関係団体・自治体・NPOなど幅広い主体が申請できます。

少子高齢化による担い手不足などを背景に、令和9年度の要求額は前年度から大幅に拡充されています。


文化観光分野で活用できる主な補助事業(予算が未定のもの)

以下は、まだ具体的な金額等が明示されていないものの、継続・強化が期待される補助事業です。

▶【観光庁】観光需要分散のための地域観光資源コンテンツ化促進事業

オーバーツーリズムに悩む地域の観光分散化を支援する事業です。地域の文化資源を活用した体験コンテンツの造成や情報発信を一体的に伴走支援します。

令和8年度は、同事業に49億円(令和7年度補正予算として計上)の予算が充てられてますが、今回、観光庁の概算要求では、引き続き地方への観光需要分散の必要性が強調されていることから、補助事業が継続されることが期待されます。

▶ 【文化庁】全国各地の魅力的な文化財活用推進事業

文化庁の、文化財を活用した観光コンテンツ造成支援の補助事業である「全国各地の魅力的な文化財活用推進事業」。令和6年度から続いています(令和8年度の事業予算:8億5000万円、財源は観光庁の旅客税)。

今回の概算要求では、直接言及はないものの、観光庁が「地方誘客及び消費拡大に効果の高い観光コンテンツの充実 」を引き続き強化することから、同種の補助事業が継続されることが期待されます。

▶ 【文化庁】日本博2.0

文化庁は2020年度に開始した「日本博」事業の第2フェーズとして、「日本博2.0」を推進しています。

日本博2.0では、伝統芸能・文化財・現代アートを融合させた「日本ならではの文化体験」の創出が求められており、地域の文化資源を活用するプロジェクトとの親和性が高い領域です。

令和9年度にどうなるか、概算要求中に明言はありませんが、大阪府が日本博2.0の後継事業の創出を要望するなどの動きがあり、今後の動向が注視されます。 

まとめ:文化観光への追い風をどう活かすか

令和9年度の概算要求のポイントを整理すると、次の3点になります。

① 旅客税の増収を背景に、文化庁・観光庁ともに大幅な予算拡大を要求

② 地域の文化資源コンテンツ化や文化観光推進など、現場に即した補助事業が継続・拡充

③ 正式な予算額・補助事業の詳細は12月以降に確定

あっぱれでは、こうした補助事業の活用を検討する企業・自治体・DMOなどの皆様に向けて、事業計画の立案から申請、プロジェクト実施までを伴走支援します。

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【出典】

・文化庁 令和9年度概算要求の概要(2026年8月)
・観光庁 令和9年度概算要求の概要(2026年8月)
※グラフは、これらの資料をもとに作成

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