
2026.3.19
【4/10まで】観光庁「第2のふるさとづくりプロジェクト」解説。文化財にも活用可能
関係人口の創出を目指す
「何度も地域に通う旅、帰る旅」——。
そんな新しい旅のスタイルを広げることを目的に、観光庁が推進してきた「第2のふるさとづくりプロジェクト」モデル実証事業が、令和4年度のスタートから5年目を迎えました。
このプロジェクトは、地域の人々と継続的な関係を築き、「第2のふるさと」として、何度も訪れてくれる「関係人口」の創出を目指す取り組みを観光庁が支援するもの。
個人旅行者を対象とした「個人版」と、研修・福利厚生などを入り口に、企業との継続的なつながりをつくる「企業版」があります。
この記事では、それぞれの概要や、どんな案件が採択されてきたかを紹介します。
令和8年度の公募期間は3月3日(火)〜4月10日(金)17:00です。
令和8年度の2つのモデル
個人版
個人版は、地域を繰り返し訪れる個人のファンを育て、地域との関係を深めていく取り組みです。
採択件数・規模
採択件数:10件程度
上限額:1事業あたり1,000万円(税込)
KPI:のべ参加者数100人超の目標設定が必須
経費の対象となる主な取り組み
プログラムの造成・モニターツアーの実施
イベント・ワークショップの開催
地域コーディネーターなどの人材育成
CRMの活用、広報ツールの制作
なお、モニターツアー参加者の交通費・滞在費の負担は、原則として対象外となっています(事業の自走化・持続可能性を重視しているため)。
企業版
企業の社員研修・SDGs・CSR・チームビルディングなど、企業側のニーズに応えるプログラムを地域が造成し、企業が継続的に地域を訪れる仕組みをつくることを目指します。
採択件数・規模
採択件数:10件程度
上限額:1事業あたり1,000万円(税込)
KPI:のべ参加者数150人超の目標設定が必須
個人版と異なり、体験プログラムへの参加企業を特定すること(申請時点で難しい場合は、確保に向けた方針の明示)が必要となります。
経費の対象となる主な取り組み
プログラムの造成・モニターツアーの実施
イベント・ワークショップの開催
コンシェルジュの育成
CRMの活用、広報ツールの制作
事業の詳細は、それぞれ観光庁の公式HPをご確認ください。
https://www.mlit.go.jp/kankocho/kobo05_00036.html
なお、どちらも、申請前までに「第2のふるさとづくり推進ネットワーク」への参画が条件となっています(オンラインでできます)。
補助金でなく、調査経費の負担
本事業は、補助金・交付金ではなく、調査に必要な経費の国費負担となっています。
補助金などの場合、「事業の2分の1補助」など補助率があり、自分での持ち出しでの負担が大きくなります。
その点、本事業は、対象外経費を除き、国の負担で実施できるので、安心です。
ただし、原則として精算払い(事業が完了した後に支払われる形)※となるので、事業実施中に発生する経費に関して、まず、ご自身で立替ができる資金的な体力が必要となる点に注意しましょう。
※必要と認められる場合、事業実施中に受け取れる「概算払い」あり。
申請できる団体は?
この事業の申請資格があるのは、地方公共団体・DMO・民間事業者等の組織・団体・協議会です。
ただ、そのうえで一歩踏み込むと、ご自身の団体に、こんな点が備わっているか、一度振り返ってみましょう。
・来訪者を、継続的に受け入れる体制(人材)が地域にあるか?
・自治体などと連携できているか?
「来てもらった人が泊まるための場所」から、「関係性をつくるためのコーディネーター」などまで、継続的に来訪者を受け入れ、関係性を築いていくためには、まず人材や体制の構築が重要。ここがしっかりできそうか、チェックしてみましょう。
また、DMO・民間事業者等の組織・団体・協議会などは、地方公共団体との連携(観光部署だけでなく、移住・産業関連部署も)が必須となります。
どんな事業が採択されやすい?
選定基準については、公募要領に記されているので、詳細はそちらをチェックください。
ここでは、あっぱれの視点から、申請前にぜひ振り返ってみてほしい、「採択のポイント」を紹介します。
・単発イベントではなく「関係性の設計」があるか
この事業で大切なのは、中長期で継続して人が来てくれるための仕組みづくりです。自身の企画が単発で終わってしまうイベントになっていないか、チェックしてみましょう。
・計画が具体的で、かつKPIの達成ロジックをきちんと説明できるか
国費を使う事業なので、企画段階で事業内容が詰められているのはもちろん、KPIの設定とその達成への道筋が明確なことも、採択に向けてしっかり検討したいポイントです。
・文化資源の独自性があるか
選定基準にも「提案の独自性」がありますが、「他の地域にはない、あなたの地域だけの特徴」を打ち出すにあたっては、人を呼ぶための文化資源の独自性をきちんと打ち出せているか、見つめ直してみましょう。
採択後の流れ・事業実施期間は?
本事業では、採択が決定したら、事業計画書を作成し、事務局との契約手続きを行います。そこから、本格的な事業スタート。
そして、原則として令和9年1月 31 日までに完了させる(つまり、本事業の経費にしたい取り組みは、ここまでに行い、支払いも完了させる)必要があります。
採択決定は5月中旬~下旬ごろとなる見込み。事業に本格的に取り組み始められるのは、6月頃になるでしょう。
この前提で、無理のないスケジュール組みをすることも、採択のうえでの重要なポイントとなります。
文化財の事例も多数
令和6年度は全国12地域が採択され、ナレッジ集に事例がまとめられています。
その中には、文化財を生かしたものも、複数あります!
富山県南砺市・井波(日本遺産) :「彫刻師の町」として日本遺産に登録されている井波では、「つくる人をつくる in 井波彫刻塾」を実施。伝統工芸の体験を入り口に、来訪者が職人との関係を深めていく仕組みを構築しました。
修了式では「井波第2町民証」が贈られるなど、参加者が地域への愛着を持ち続けるための工夫が随所に施されています。
埼玉県秩父市:ユネスコ無形文化遺産「秩父夜祭」をはじめ、年間300日以上の祭りが開催される秩父市では、担い手不足が深刻な課題となっています。
こうした中、同市では祭りをコミュニティのハブとして位置づけ、来訪者が祭り準備から本番まで、地域を複数回訪れ、祭りに一緒に関わる年間プログラムを設計する取り組みを行いました。
このほか全国の採択事例を見ると、農業・里山体験×生物多様性学習(長野県生坂村)、養蚕・絹織物の文化継承(福島県福島市)、企業研修×古民家まちづくり(愛媛県大洲市)など。
このプロジェクトは、「観光消費」ではなく「関係構築」を重視しています。
文化財や伝統文化を次世代に継承していくためには、修繕・保存の費用はもちろん、それを支えるファン=関係人口の存在も欠かせません。
その意味で、このプロジェクトは文化財・伝統文化を抱える地域にとって、非常に親和性の高い事業です。
ご相談はあっぱれまで
株式会社あっぱれは、文化財を生かしたコンテンツづくりについて、体制構築からプロデュースまで日本全国で取り組んでいます。
私たちが力を入れているのは、「一時的な補助金獲得だけでなく、きちんと文化財を持続可能なかたちで活用・継承していくための仕組みづくり」です。
また、コンサルティングだけでなく、実際のイベント運営支援や広報ツールの制作までできるのも強みです。
本補助金の活用を含め、「文化財をどう活用し、未来に残していくか」にお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
▶ あっぱれへのお問い合わせ:https://appare-jp.com/contact